大学の卒業論文以来、歴史学のなかでも日本の近代史を専攻し、明治時代の美学者である高山樗牛(1871-1902)の「文明批評」を読み解くことを通じて、日清戦争の頃における文化的なナショナリズムの形成の問題について研究を続けてきました。

高山樗牛(国立国会図書館提供)

満年齢で31歳で亡くなった高山の活動は多岐にわたり、戦前に3回にわたって全集が刊行されるなどしています。彼が当時を代表する雑誌『太陽』に言論を発表していたことから、雑誌メディアの歴史資料(史料)としての位置づけ、読者の問題、全集テクストの扱いと原稿との対比などについても考えてきました。

図書館に就職してからは、思想を残し、伝えていくメディアとしての図書館の歴史的な変遷にも関心を持ちました。

現在は、日本史学の立場から以下の研究テーマの解明に努めています。

  1. 高山樗牛や姉崎嘲風らを中心とする明治・大正時代にかけての「文明批評」の展開および「日本文化」をめぐる議論の位相
  2. 明治20年代から40年代にかけての地方文芸雑誌の読者が構築した独自の読者ネットワークの実態解明と雑誌メディアの史料学的研究
  3. 帝国図書館を中心とした近代日本における図書館機能の思想史的意義