1.引用

学術的な文章の著者には、議論の典拠にした文を明示する責任があります。ふつう、引用なしで論文を完成させることはできないので、引用したものがある以上、参考文献など典拠をきちんと書く必要があります。

引用の元になった文献から、文章を改変せずに引き写す場合を直接引用といいます。この場合、引用の範囲を「」で囲んだり、または冒頭から2字分開けて(縦書きの場合は2文字分下げて)引用部分を明示します。

引用の元になった文献の文章を自分の言葉に置き換えて使用することを間接引用といいます。この場合、引用の範囲を「」で囲んだりする必要はありませんが、元のアイデアは自分のものではなく他人のものですので、出典の明示は必要です(それを怠る場合、剽窃に問われる恐れがあります)。

2.出典

原則

論文等において出典を明示する場合、著者、タイトル、書籍の発行者、発行年、ページに関する情報を書く必要があります。

書き方は様々な流儀があるのですが(丸括弧で文献名を括る、脚注に掲げる等)、一つの論文内では同一の方法によって統一されていることが重要です。

日本語文献の場合、単行本の書名や学術雑誌名・新聞紙名は『』で括り、論文集のなかの一論文や、雑誌記事、新聞記事のタイトルは「」で括ります。
基本的な考え方としては、誰の何という文献の何ページにそのことが書いてあるかを、自分以外の人間が読んだ際に特定し参照できるようにすることができればOKです。

引用にあたっては、必ず自分の目でオリジナルの原典を確認してください。第三者が書いた論文にいい感じのことが引用してあったとしても、それを自分の文献に取り入れるためにオリジナルに当たらないで、その論文の註から書き写す行為は極めて問題があります(「孫引き」といって、盗用に類する行為とみなされる場合があります。もしどうしても元の文献に当たれないのなら、引用しないのが正解だと思いますが、それでもやむを得ず紹介する場合は、元の論文と合わせて、元の論文から再度引用したことを明示すべきだと思います)。

出典の記述方法

本文中の引用箇所に括弧で著者の姓と発行年を書き、参考文献リストを巻末に列挙するハーバード方式というのと、引用部分の直後に通し番号を入れ、脚注として末尾に番号に対応する書誌事項を繰り返し記述するバンクーバー方式というのがあります。

この2つは、投稿・提出先の規定が明確でなければ、どちらを使っても構わないのですが、ただし一論文内で両方の方法を混ぜるのは厳禁です。

すなわち、脚注で出典を示すのに、本文中で引用した文献について著者の姓+発行年の記述があってはいけないということです。