※このページは随時更新する可能性があります。
※最新の情報はNDLのウェブサイトを参照してください。
https://www.ndl.go.jp/
最終更新 2024/1/5
目次
はじめに
この資料は私(長尾)が、勤務校の講義等で学生に伝える内容を文章化したものです。
国立国会図書館の概要、利用者登録までの流れは、別記事「国立国会図書館の使い方(遠隔)」を参照してください。NDL作成による利用ガイドも、上記ページを参照してください。なお、本記事の想定読者は大学生以上なので、基本的に満18歳以上と思いますが、国立国会図書館の利用資格については以下を参照してください。
https://www.ndl.go.jp/jp/tokyo/use_require.html
以下では、利用者登録が完了している人が、東京本館などを訪問して資料を利用する際の注意点について述べます。
1.図書館に行く前に
1-1.国立国会図書館と他の図書館の利用方法のちがい
国立国会図書館は日本で唯一の国立の図書館です。納本制度によって網羅的に集められた資料のなかには他で代替が利かない資料もあり、万が一にも汚損・破損・盗難などがあってはいけないという観点から、資料利用にいくつかの制約が設けられています。
初めて国立国会図書館を来館で利用する人は、以下の点を知らずに行くと、大学図書館や地元の図書館とかなり使い勝手が違うことに驚くと思います。
なので、事前に以下のページに書かれていることを一読の上、内容を理解した上での訪問を(個人的には強く)勧めます。
- 東京本館利用の流れ(https://www.ndl.go.jp/jp/tokyo/flow/index.html)
- 来館される方へのお願い(https://www.ndl.go.jp/jp/tokyo/notes.html)
- 来館利用上のお願い(PDF)(https://www.ndl.go.jp/jp/use/use.pdf)
国立国会図書館の利用で他の図書館と違う点として、例えば以下の事項があります。
- 一定以上(B5サイズ以上)のものが入る大きさのカバンや袋の持ち込みができません。大きな荷物はロッカーに預け、入館前に筆記用具や財布、ノートパソコン等は備え付けのバッグに入れ直す必要があります(バッグは退館時に返却)。
- 借りた本の図書館外への持ち出しはできません。図書館内でのみ閲覧し、当日中に返却しなければなりません。
- 書庫内資料の取り出し(出納)や文献の複写といった作業はスタッフにお願いする形になります。自分で書庫内の本棚の間を歩き回ることはできません(いくつかの部屋に自由に手に取れる開架の資料がありますが、辞典類など参考図書類に限られています)。
- 月曜日は開館していますが、日曜日と祝日は休館です。第3水曜日も休館です。
- 館内では決められた場所でのみ飲食が可能です。
端末から見たい資料を請求してカウンターに到着するまで、複写を申し込んでから複写物の精算が終わるまで、当日の混雑状況にもよりますが、それぞれ20分前後かかります。
利用者登録せずに軽い気持ちで出かけると、たとえ1冊の本を4頁だけコピーするというような簡単な用事であっても、目的達成までにあっという間に1時間くらいかかりますので、事前に準備できることは極力済ませていくのが時短のコツです。地元の図書館や大学図書館で読める本であれば、そちらで見たほうが早いです。
その他の事項として、これは他の図書館でもそういうところが多いですが、館内の撮影が禁止されています。自分しか見ない場合であっても、携帯で本の一部を撮影するのはルール違反です。有料の複写を申し込んでください。
スマホのメモ帳や持ち込みのPCに文章を打ち込むのであれば別ですが、筆記用具とノートやメモ帳も、持参したほうがいいと思います(4で述べるように憲政資料室や古典籍資料室を使うなら、鉛筆と鉛筆削りもあったほうがいいです。忘れた場合、本館6階に売店があります。)。
1-2.利用の前に
コロナの際は入館制限を実施していました。現在は行っていないようですが、年末年始、連休前後、お盆前後は混雑が予想されます。
最新の情報は国立国会図書館のホームページを見ておくとよいと思います。
※国立国会図書館HPには、よくある質問も掲載されています。
https://www.ndl.go.jp/jp/help/open.html
1-3.あらかじめ閲覧したい資料を選んでおく
この作業は、必須ではありませんが、入館後の作業時間が大幅に短縮できるので、事前に閲覧希望の資料がある程度決まっていれば、国立国会図書館サーチ上であらかじめ資料を申込カートに入れておくのが良いでしょう。そうすれば、入館後にいちいち資料を検索することなく、端末にログインしてすぐに申込カートから「閲覧申込」を実行できるので、最初の資料出納までの時間が短縮されます。
夕方の利用など、複写サービスの〆切が迫っている場合などはとくに15~20分くらいのロスが勿体ないと思います(とはいえ、請求した資料の参考文献からさらに見なければならない資料が見つかることはよくあることですが)。
個人登録利用者の資料検索から申込カートへの投入方法はヘルプを参照してください。
https://ndlsearch.ndl.go.jp/help/individual
また、国立国会図書館デジタルコレクション搭載(館内限定公開)などの資料で見たいものは、申込カートに入れられないので、☆印をクリックしてお気に入り登録しておくとよいと思います。閲覧申込後~資料到着までの間に、必要な電子情報のプリントアウト申し込みをしておく時間にあてることができます。
ちなみに、持参したUSBを差し込んだり印刷できる端末はないので、例えばある論文PDFの文献リストを見ながら資料の請求をしたい、というような場合は、必要な情報をスマホに入れておくか、持ち込むノートにメモしておくか、あるいはノートパソコンごと持っていく方がよいと思います。
2.国立国会図書館に行く(東京本館の場合)
一番近いのは有楽町線「永田町」2番出口を出たところです。
右手に国会議事堂を見ながら、信号を直進して東口に向かってください。本館入口と新館入口があります。
※通常だと利用者カードの発行が済んでいる人はどちらからでも入れますが、コロナで入場制限がかかっている期間は職員の誘導・指示に従って入館してください。
入ったら大きな荷物をロッカーに入れ、筆記用具などを透明な袋に入れて、カードをゲートにタッチして入館してください。
3.資料を利用する
- 資料の利用申し込み
入館したら、まず館内に設置されている利用者用の端末席に行きます。
資料の利用の流れは、
国立国会図書館サーチでの検索→申込カートへの登録→申込カートからの申込→各カウンターでの資料の受け取り→閲覧→(必要があれば複写の申込→複写物の受取・精算)→資料の返却
という流れが基本です。
デジタル化済の資料や電子情報の利用であれば、申込カートへの登録は不要なので、
電子情報サービスの閲覧→プリントアウト申込→プリントアウト製品の受取・精算→終了
という流れになります。ただし、契約データベース以外のインターネットサイトはプリントアウトができません。
複写の精算時にはクレジットカードは使用不可(一部の交通系電子マネーなどは可)なので、大量の複写予定がある場合にには現金持参を勧めます(東京本館内にはりそな銀行のATMはあります)。
図書は本館2階の図書カウンター、雑誌は新館2階の雑誌カウンターで受け取りをします。そのほか、新聞の縮刷版を見る場合には新館4階の新聞資料室に行くなど、資料の種類によっては専門室を利用する場合があります。
東京本館の専門室については以下のリンクを参照してください。
https://www.ndl.go.jp/jp/tokyo/reading_info/index.html
一度に申し込めるのは、図書が5冊、雑誌が10冊です。5冊借りていて1冊だけ複写が必要であれば残りを返却し、1冊を複写カウンターに出している間に次の4冊を請求して待ち時間を減らすというような使い方をする人もいると思います。
※国立国会図書館では、開架されているのは基本的に辞書など参考図書類に限られており、それ以外の小説や研究書、雑誌を、利用者が自由に本棚から取り出すことができません。利用者は館内設置のパソコンから必要資料を検索して申し込みをします。
※複写についても、著作権法が厳格に守られています。複写申込の書類に記入した後、複写してよい個所をスタッフに確認してもらった上で、コピーにかけられます。関西館にはコイン式のコピー機があり、自分でコピーできますが、事前にスタッフの確認は必須になります。料金も1枚10円とかではなく若干割高なので、本当に必要な箇所だけに絞ることを勧めます。
古い資料などの場合、別室での利用を求められたり、マイクロフィルムやマイクロフィッシュの形態で資料を渡されたりすることがあります。マイクロ化済資料は閲覧席に備付のリーダーで閲覧します。初めての人は使い方がわからないかもしれませんが、マニュアルが備え付けてあるので、それを見て、それでもわからなければ係の人に使い方を聞いてもよいと思います(資料を傷つけると大変なので)。
4.専門室を利用する
4-1.レファレンス
探したいテーマは決まっているのに資料が上手く見つからないという場合、各専門室のカウンターで資料探しを手伝ってくれます(端末の操作方法などであればホールにいるスタッフの人が教えてくれます)。調べ物の手がかりになるので、調査済の関連文献のコピーなどがあれば一緒に持っていくと話がスムースです。
本館2階人文総合情報室は総記・人文分野(学術一般、ジャーナリズム、哲学、宗教、歴史、地理、芸術、言語、文学)の主題に関するレファレンスを受け付けています。
歴史ということで、日本近代史の場合は人文に行くのがよさそうですが、調査中のテーマによっては、例えば経済史や教育史であれば科学技術・経済情報室(本館2階)とか、軍事史や法制史であれば議会官庁資料室(新館3階)のほうが当該主題の参考図書が充実しているので、複数の部屋を回ったほうが有効な解決策が得られる場合があります。
4-2.憲政資料室(本館4階)
近現代日本政治史に関する文書を所蔵しています。幕末から現代までの政治家個人の日記や手紙、日本占領期のアメリカ側の資料の複製物、移民関係の資料が閲覧できますが、貴重な史料が多いので取扱いには注意が必要で、プライバシーや人権への配慮も求められます。
利用に当たっては別途「閲覧許可申請書」というのを記入して提出する必要があります。名前や連絡先のほか、調査目的や研究テーマやなどについても申告してください。なお憲政資料室内では、先のとがったシャープペンシルやボールペン、万年筆等は使用不可。鉛筆のみ使用が許可されると考えてください。この世に1つしかない文書資料を汚損・破損から防ぐためです。
憲政資料室の所蔵資料の詳細は以下を参照してください。
https://rnavi.ndl.go.jp/kensei/
5.退館
資料の利用が終わったら、ゲートに利用者カードをタッチして退館してください。貸出中の資料がある場合、未精算の複写製品がある場合は、退館できません。
免責事項
掲載時点において、情報には細心の注意を払ったつもりですが、今後の状況により、利用方法が変化していく可能性もありますので、最新の情報は国立国会図書館のホームページ等を参照するようにしてください。