以下は、私が大学の演習授業で学生に配布している資料(一部改変あり)です。
演習での発表に求められる要件は、大学や分野、教員によって異なると思うので、あらかじめご留意ください。演習の授業で発表をしてもらう際の心構え、目的などについて説明した回の説明資料から抜粋しています。

1.演習科目における発表について

  • なぜ発表が求められるのか? …文章を書く力とプレゼン能力は車の両輪
  • 演習で求められる能力とは?
    • 文献の理解
    • 内容整理
    • 人前で説明する
    • 議論の根拠を調べる
    • 配布資料の見やすさを工夫する
    • 内容の疑問点を質問する
  • すべて卒論に必要なものであり、卒業後、社会人に求められる課題発見力や柔軟性、主体性、実行力とも関連している。

2.発表資料の特性

Wordによる紙レジュメ配布PowerPointによるスライドの投影
〇情報を多く入れやすい

〇全体像の視認性に優れる

〇長文の史料引用があっても気にならない

×図版・写真は効果的に見せにくい

×内容のポイントが本文中に埋もれがち

〇図版・写真を見せやすい

〇ポイントの強調がしやすい

×情報過多になりがち

×長い文章が入れられない

×最初の方のスライドと、後半のスライドの論点の比較がしにくい

  • いずれも一長一短である。
  • 文献引用が多くなる歴史学系ではWordによる紙のレジュメがよく用いられるが、美術史系など図版の説明が必須な場合や情報系などの授業ではPowerPointを使う
  • 重要なのは趣旨・目的が明確で読んだ人に確実に伝わる資料作成といえる。

3.PowerPointのスライドを効果的に作るために

よく言われることとして、以下のような留意点が挙げられる。

  • 演習で使う研究発表スライドに書くこと(*1~4はタイトルスライドにあるとよい)
    1. タイトル(本の要約・紹介の場合は書名)
    2. 発表日付
    3. 発表会場(授業名、イベント名)
    4. 発表者の名前
    5. ページ数
    6. 内容
    7. 参考文献・引用文献一覧
  • 1スライド1メッセージ
  • 情報もシンプルに(箇条書きなどにする)
  • 冒頭に全体の構成やアウトラインを明確に提示するのも一案
  • フォント・文字の大きさの工夫 …私は好みで、UDデジタル教科書体NP-Rを多用しています。極力ポイントが28以下にならないよう、1枚の情報量も気を付けています。
  • 基本の背景・文字色などは3色程度に抑えていると見やすい
  • ハンドアウト(配布資料)との組み合わせる方法 …引用などで文字が多くなるところは紙にまとめて配っておき、発表を聴きながら適宜参照してもらう

4.その他

  • あくまで私個人の好みの問題ですが、次の3パターンのレイアウトについては、自分でデザインを作ってマスタから登録しています。
    • タイトルスライド
    • タイトルとコンテンツのスライド(本編部分)
    • セクション見出しのスライド

  • プリセットのデザインを使用するのでも良いと思います。

参考文献

  • 大出敦 編 /慶應義塾大学教養研究センター 監修/直江健介著『プレゼンテーション入門 : 学生のためのプレゼン上達術』(慶應義塾大学出版会、2020)